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もうすぐAMラジオが停波するらしいのでAMラジオキットを組んでみた

数年前、私が電子工作を始めたばかりのころに立てた目標のひとつに、"ラジオを自作して音を聞く"というものがあります。

あれから数年経ち、ようやく電子回路のことが少しずつ分かってきた(気がする)のでラジオ制作に着手してみました。

しかし実際に取り組んでみると、この令和の時代にラジオ制作に関する情報を集めるのには非常に難しく、何回も挫折してしまいました。

そして最終的に"ラジオキット"の存在を知り、なんとかラジオを完成させることができました。


そこで今回は、ラジオ制作を行うにあたって、私が取り組んだことやつまづいたことについて書き残こそうと思います。

この記事が、後々ラジオ制作に挑まんとする方々の道しるべになれば幸いです。


ラジオ制作初挑戦なら”絶対に”ラジオキットから入れ!

ラジオを作るにあたって、回路設計・部品選定を自力でやってみたいという方も多いかと思いますが、個人的にはお勧めできないです。

かくいう私も最初こそ回路設計を自力でやろうとしたのですが、ネットで調べても簡単なラジオ回路について解説している情報がなかなかヒットせず、速攻で挫折しました。


はっきり言って、何度も挫折しながら自力で回路を設計するよりも、一度プロが設計してくれた回路をくみ上げて動作させてみる経験を積んだほうが、簡単で、得るものも大きいと思います。


私はシャンテック電子という会社が出しているラジオキットを組んでみました。回路図と配線図、そして必要な部品がまとめて入っているので、これさえ買えばだれでもラジオが組めます。

※ただし、はんだ付けが必要になるのではんだごて等が別途必要になります。

僕が購入したラジオキットを載せておきます。(3石トランジスタラジオキット+2石アンプキット)↓
www.shamtecdenshi.jp

ちなみにですが、回路図や部品表が載った説明書は、商品ページにて公開されています。キットが欠品している場合は、そちらを参考にして電子部品を買いそろえるのも手です。

とはいえ、やっぱり自力で回路を設計してみたい方へ

それでも自力で回路を設計したいという方に一つだけ伝えておきたいことがあります。

それは、"ゲルマニウムラジオはやめとけ"ということです。

私は初めてラジオ制作に挑戦した際に、ゲルマニウムラジオを作ろうとしていました。

理由としては、僕がweb上で見た情報(かなり古い)の多くに、"初心者は構造が簡単なゲルマニウムラジオを作るべし"と書いてあったからです。

ところが、実際にゲルマニウムラジオを作り使ってみると全く音が聞こえません。

これは、ラジオ内部に信号を増幅する機能がないため、よっぽど受信感度のいい場所or良いアンテナがないとスピーカーを鳴らせるほど大きな信号が得られないからです。

なので、ラジオを作る際はトランジスタラジオ等の、ラジオ内部に信号増幅機能を有したものを制作することを強く推奨します。

ちなみに上で紹介したラジオキットは内部に増幅機能を有しているので電波が多少弱くても大音量で聞くことができます。

ラジオキットを組み立ててみる

ラジオ回路の自作に挑戦→難しすぎて挫折 の流れを繰り返して2年ちょっと経った頃、ついにラジオ制作キットの存在を知り、即購入しました。

届いたラジオキットを開封すると、回路に必要な一通りの電子部品と、説明書が一枚入っていました。

いきなりはんだ等で実装するとやり直しがきかないので、まずはブレッドボード上で組んでみて動作確認することにしました。

ブレッドボー上にキットを実装
ラジオキットをブレッドボード上に実装。バリコンで選局し、クリスタルイヤホンで聞く。

一通り回路を組んだところで音を聞いてみると...あれ、何も聞こえないぞ?

ループアンテナを作る

でもう一度説明書を確認してみると、"共振回路部分にアンテナをつなげると感度が増す"と書いてありました。

調べてみるとアンテナの制作はめっちゃ簡単みたいなので、作ってみることにしました。


材料はポリウレタン線と100均の適当な大きさのプラ製のカゴだけ。

参考までに、画像とURLを載せておきます。

100均のプラ製ケース。一周の長さが1mくらいのものを選ぶといいみたいです。

今回使ったプラケース(ダイソー)
ラッセバスケットB5 - ダイソーネットストア【公式】

ポリウレタン銅線
ポリウレタン導線。太さは0.32mmを使用しました。


ポリウレタン線を線同士が重ならないように、プラケースの周りをぐるぐると巻いていきます。

ケースに銅線を巻き付ける
ケースの周囲に銅線をぐるぐる巻いていく

10mほど巻いたら、線の片方にワニ口クリップを取り付けて完成です。

線のもう一方には何も繋がなくて大丈夫です。箱に張り付けたままにしておきます。


ワニ口クリップを共振回路の部品(リードインダクタかバリコン)の足に挟めば、共振回路にアンテナを接続したことになります。

さて、これで準備は完了です。電池を入れ、イヤホンを耳にはめたままバリコンのダイヤルを少しずつ回して選局してみると... めっちゃ音聞こえる!

というわけで、無事に電波を受信することができました。

基板に実装+プチ改造してみる

ブレッドボード上で音が鳴ることを確認できたため、次は基板上に実装してみることにしました。

基板上に実装するにあたって苦労したのが"部品の位置決め"です。

小さい基板上にたくさんの部品を並べようとすると、部品が収まるスペースがなかったり、部品間をつなぐ導線同士が交差してしまうことが多いです。

行き当たりばったりでレイアウトを考えながら作業すると、部品の配置を何度もやり直すことになり、時間を浪費してしまいます。

それだけでなく、部品の足が金属疲労で折れたりして、部品が足りなくなることもありました。

そこで私は、PC上であらかじめ部品の並べ方や配線の通し方を検討してから、はんだ付けの作業に移るようにしました。

部品の配置及び配線の検討に使用したツールをこちらに紹介しておきます。"marmelo"というアプリです。

↓(おそらく)ツール制作者様のサイトです。使い方等の説明もいろいろ書いてあります。
motchy99.blog.fc2.com

marmeloを使って、部品の配置と配線の取り回しを検討してみると、こんな感じになりました。

marmeloで作った配置図その1
marmeloで作った基板表面の配置図。部品と配線が表示されている。
基板裏面の配置
基板裏面の図。裏面は配線がたくさん。コンセプトは"交差を最小に"。

これでレイアウトも決まったので、あとは実装するのみです。

せっかくなので、アンテナも小型化してしまおう

このまま完成させてもよいのですが、先ほど作ったアンテナはちょっと大きすぎて扱いにくいです。そこで、既製品の小型のアンテナに置き換えて小型化を図ります。

使用するのは"バーアンテナ"と呼ばれる部品です。

こいつはアンテナとしてのみならず同調回路のコイルとしても機能するため、バーアンテナとポリバリコンを並列につなぐ(このキットの場合、リードインダクタをバーアンテナに置き換える)ことで、外部から別途アンテナを接続しなくてもラジオ波を受信・選局できるようになります。

バーアンテナはいろいろなメーカーから販売されていたようですが、AMラジオ波の縮小・停波の影響か、パーツ屋さんでも取り扱いが減ってきているみたいです。

aitendoとかだとまだまだ在庫があるみたいなので、買おうと考えている方はお早めに。

ついに完成!

基板上に部品をはんだ付けして、配線をしたら完成です!

ユニバーサル基板上に実装
ユニバーサル基板上に実装したもの

さすがに一発じゃうまくいかないだろうな、と思いながら電源を入れてみると...受信してる!

選局が難しいけど、ノイズの向こうに人の声が聞こえます。

選局をしっかり微調整すればかなり鮮明かつ大音量に声を聴くことができました。

今後の展望とか

とりあえず電波を受信して音を鳴らす、というところまでは達成できました。

とはいえ、まだまだ改良の余地ありと思うところもいくつかあります。

例えば、"受信帯域が狭い"といった問題です。いろいろ試したのですが、受信できる局が一局しかありませんでした。

考えられる原因としては、バーアンテナとバリコンの組み合わせが良くない、共振回路のQ値が低い、アンテナ感度が足りてない、などが挙げられます。

あと、"バリコンに触るとバリコンの静電容量が変わる"という問題もあります。

例えば、手でバリコンを持ちながらダイヤルを回して選局したとします。そのあと手を離すとバリコンの静電容量が変化してしまい、チューニングが合わなくなってしまいます。

解決策としては、バリコンの位置を固定してバリコン本体をつかまなくてもダイヤルが回せるようにすることや、電圧の印加量に応じて静電容量を変えられる素子(バリキャップ等)を利用して共振回路の周波数ロックを行う方法とかが思いつきました。

ともかく、共振回路に改善の余地が大アリなような気がします。

時間があるときにまたリベンジしてみようかなと思います。